こんにちは、アシスタントコーチの佐々木です。

NOAVICTASさんからのご厚意で、VICTASラケット&ラバーがたくさん送られてきて、試打を行うことができました。これから卓球を始める人にとっても、コロナの影響で、ここから再スタートという人にも、ラケットやラバー選びは重要です。VICTASさんのお気持ちに感謝し、全力でVICTAS製品をレビューしていきたいと思います。第一弾は、松平賢二選手の使用するラケットカルテットVFCです。

カルテットVFC2


QUARTET
シリーズとQUARTET VFCの概要

カルテットシリーズは、VICTASラケットの中でも「特殊素材」に着目したラケットのシリーズです。卓球のラケットは、ルールとして特殊素材は全体の15%以下に抑えなければならないと定められており、残りの85%は木材である必要があります。

この特殊素材比率15%の限界に挑戦したのがカルテットシリーズです。ラケットは内側から、中芯、添え芯、上板の順に合板が構成されており、5枚合板なら中芯1枚、添え芯2枚、上板2枚の構成、7枚合板なら中芯1枚、添え芯4枚、上板2枚の構成です。

一般的な特殊素材ラケットでは、中芯の両端に特殊素材を裏表2枚入れるか、上板の下に裏表2枚入れるケースが多く、中芯に近いところに特殊素材が入っているラケットを「インナー」、上板に近いところに特殊素材が入っているラケットを「アウター」と呼びます。

カルテットシリーズでは、5枚合板ラケットの、中芯と添え芯の間に1枚、添え芯と上板の間に1枚、表裏で合計4枚の特殊素材を挟み込むことにより、板厚を抑えながら強度を増し、木材ラケットのしなりを残しながら、特殊素材の適度な反発や硬さを体感できる、新感覚のラケットになっています。

ラケットの概要は以下の通りです。

素材:木材5枚、Vカーボン2枚、フリースカーボン2
板厚:5.3
ブレードサイズ:157×150
重量:88g
グリップ:FL ST 中国式
メーカー希望小売価格:16,500円(税込)


VICTAS
特殊素材の中でも硬質なVカーボンと軟質なフリースカーボンを両方搭載することで、適度な弾みと硬さを維持しつつ、ボールを持つという木材の感覚をしっかりと残したラケットになっています。重すぎず、軽すぎず、しっかりと破壊力が出る攻撃選手向けのラケットです。
カルテットVFC3



試打いってみましょう

それでは、試打に移りましょう。使用したラケットは松平賢二選手仕様となっており、両面にV15エキストラが貼ってあります。グリップはFLです。
ちなみに私が普段使っている用具は

OSPラケット タイニーダンサー(木材7枚合板)
フォア 銀河 天王星(表ソフト)
バック GEWO ネクサスEL PRO43(裏ソフト)

です。


ミート系技術(フォアロング、バックロング)

初打感としては、軽快な金属音、そして球持ちが非常に良く、ミート系技術は気持ちよくボールが飛んでいきます。打球時には適度に手に振動が入り(大きくはありません)、打球しているという感覚をしっかりと感じながら、打ちこむことができます。

カーボンラケットとは思えない打球感で、言われなければ特殊素材が入っていることも忘れてしまいます。硬質な7枚合板ラケットを打っているような感じで、特殊素材が嫌いな私も、すんなりと馴染むことができました。

ボールがオートマチックに持ち上がり、自分で弧線を作ろうとしなくても、ボールが手元で持ち上がってくれて、ネットを超えるだけの弧線が自然に生まれます。軽い力でロングを打っていても、ボールはしっかりと走っていき、また硬質なラバーのV15エキストラでも、直線的に飛ぶボールが少ないので、安心してコントロールし、ボールを打ちこむことができるのが良いですね。

ロング系のボールに対しては、強くミートをしても直線弾道が際立つわけではなく、持ち上がりながら飛んでいくので、ネットギリギリを狙うようなスマッシュを打っても、相手コートまで弧を描いて飛んでいきます。高いボールを打つ際には、オーバーミスに注意して打ってあげる必要があるでしょう。逆に、下回転のボールや、低めのロングなども、ミートで打ちこんでもネットミスの怖さがないので、前陣で弾く打ち方をする選手には、攻撃時のミスをする怖さを少なくすることもできそうです。

回転をかける技術(ドライブ)

回転をかけると、ラケットの弾みを感じることになります。打感が柔らかく、しなりのあるラケットは、ドライブもやりやすく、ボールを落とす感覚は少ないです。逆にオーバーミスが増えるほうが気になるかもしれません。

ミート時にも感じた、ボールが上がる性能は、ドライブの際にもしっかり生きており、プラスボールを掴んで運んでくれるので回転もかけやすく、安定してボールが飛んでいきます。

回転を強くかける、掴んでから離す打ち方はもちろん得意なラケットですが、当ててから回転をかける当て打ちをしても、ボールの持ちは変わらずに、しっかりと食い込んでから飛んでいくために、前陣からでも中陣からでも、勢いのあるボールを打ちこむことができました。

力任せに振り込むよりも、ラバーとラケットの性能を信じて、鋭角に最小限のスイングをしていくほうが、ラケットの良さが出ると思います。それほどに、ポテンシャルの高いラケットです。

また、強いインパクトにしても、ラケットが押し負けず、しっかりと反発するので、ハードヒッターにも安心です。カーボンラケット特有の、早くボールが離れてしまうという打感ではなく、しっかりとボールを掴んで離さないという木材ラケットに近い打感なので、7枚合板の木材ラケットで、少し弾みが物足りないという人が乗り換えるのには最適でしょう。

今回、カルテットVFCに両面V15エキストラを貼った状態で打ちましたが、以前のV15エキストラの上級者向けなイメージが消えて、とても使いやすいラバーに生まれ変わったように感じました。特にバックハンドでの速い打点でのドライブが気持ちよく相手コートに引き込まれていく感覚は、他のラケットでは感じられない打感です。

ラバーの性能をしっかりと残しながらも、扱いやすくマイルドに変えてくれるのがカルテットVFCの良さでもあり、このラケットを使うことで、今まで敬遠していたハイスペックラバーを使いこなす一歩となるかもしれません。

V15エキストラだけでなく、様々なラバーに合わせてみたい良い仲人的なラケットです。中級層から上級層まで、ユーザーの気持ちを汲み取りながら、より精度の高い卓球を提供してくれるギアになっているでしょう。


(文:佐々木 亘)